朝日新聞社の「民力」を基にして、埼玉県内の都市間競争の状況を調べてみた。

  2004年の民力によるランキング
  2005年の民力によるランキング

埼玉県内の都市は、東京のベッドタウンの色彩の強い県南部と、地方都市的色彩の強い県北部に分かれている。
そのため、県内41市のうち、約半数が人口増、残り半数は人口減が続いている。したがって、人口1万人あたりの数値を読み取るには、注意が必要である。分母となる人口が減少しているのであれば、分子の数値が変わらなくても人口あたりの数値は上昇することになるからである。いわば縮小均衡の結果が現れることになる。こうした傾向を示すのは、秩父を始めとする県北の各市のである。さらに、周辺の中核的な都市の影響を受けている志もある。上福岡、幸手、三郷、蕨、坂戸等の市は隣接する大きな都市の影響を受けて、施設が整備されず、その結果低い数値を示すことになる。
一方、分子の数値が上昇するために、人口1万人あたりの数値も上昇する志が存在する。拡大傾向にある都市である。
 人口の伸びを見ると隣接する市でありながら、正反対の動きをしている都市がいくつかある
  三郷がマイナス  ←  → 吉川はプラス
  坂戸がマイナス  ←  → 鶴ヶ島はプラス
  上福岡がマイナス ←  → 富士見はプラス
  蕨がマイナス    ←  → さいたま、鳩ヶ谷はプラス

和光市の人口増は、数年前ほどではなくなった。代わりに伸びているのが、戸田、鶴ヶ島、鳩ヶ谷、である。

日高の人口伸びは04年100.0 05年100.1 これまでの人口減少に歯止めがかかったようにも見える。

 戸田、吉川、鶴ヶ島の人口増が続いているが、その多くは社会増である。
鳩ヶ谷の社会増は、埼玉高速鉄道開業によるものであろう。

さいたま市は岩槻の合併後、ランクを落としている項目が多い。

小売販売額/人口 が高い都市は地元で日用品を多く買っている都市である。鶴ヶ島、熊谷、川越は保守的な街であり、市外へ行かずに地元で日用品を買っていることになる。
鶴ヶ島は商店数33位なのに、人口あたりではトップになる。店舗数が少ないのに、一店舗あたりの売り上げは高いことになる。
スーパー店舗数/人口 を見ると 鶴ヶ島、坂戸は高い。ヤオコーを始めとして、スーパーの進出が多く、これが一店舗あたりの売り上げを高くしているのだろう。

商店販売額を見ると、熊谷が大きい。周辺の町村から人を集めていることが分かる。
一方、日高、上福岡、鳩ヶ谷は、商業集積がない上に、購買力も低く、多くは市外へ流出している。

スーパー店舗は、和光、鳩ヶ谷、幸手市で少ない。和光市や鳩ヶ谷市は、店舗のインフラが少ないところに、人口が増加したことになる。川越、鶴ヶ島、坂戸市はスーパー店舗が多い。坂戸の場合には人口が伸びてない割にスーパーが多い。

世帯割り着工戸数を見る。鳩ヶ谷、戸田、和光、志木が高い。社会増のランクとリンクしていることが分かる。マンションの増加した地域であり、マンションの増加、社会増、人口増が続いた。
その中で、鶴ヶ島は社会増とリンクしていない。新町区画整理を始めとして、市内において移動、あるいは建て替えが進んだことであろう。

所得格差を見ると、これまで常連であった、浦和市、所沢市に代わり、和光、戸田の所得が高くなっている。これもマンション住民の増加によるものであろうか。

三次産業の比率が70%を上回っているのは、和光市とさいたま市
一方、深谷市のみが一次産業10%であり、三次産業は52%しかない。
和光市、さいたま市は消費産業とし、深谷は農業都市である。