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相続税対策は3段階

相続税に関しては、次の3段階それぞれにおいて考えるべきです

1 相続発生の数年前に

亡くなった時のことを想定して、いろいろと考えておく必要があります

2 相続発生 ~ 相続税申告までに

具体的な相続税申告をする前に、
どのようにしたら良いのか もっと良い方法がないのか
様々な角度から検討しておく必要があります
さらに、2次相続も考えておくべきでしょう。
たとえば、父親が死亡、母親が不動産を引き継ぐと、次に予想される母親の相続の問題が喫緊の課題になります
相続税対策
遺産分割で揉めないようにする争族対策
後継者の対策

3 相続税申告後、申告期限から5年までに

申告をして、全て終わりでしょうか。
中には、財産を見直す必要のある土地が、結構あります。
相続税が戻ってくる、かもしれません

チェックをして、現状を確認し、問題点を把握するだけでも良い、と思います。
詳しくはこちら

鑑定評価は、埼玉不動産鑑定所へ

相続税申告から5年目までの人に朗報です

相続税は、納税者の申告によります。

固定資産税とは違って、納税者が出した申告書に誤りが無ければ、そのまま受理されます。
少なく申告した時(資産の評価が小さかった時)は、税務署から追徴課税を指摘されます。
反対に、多く申告した時(資産評価において控除や適用除外を利用しなかった時など)に、「あなたの申告は多すぎます、こうすれば下がりますよ」というアドバイスはありません。

あくまで、税務署は、「申告漏れはなかったか」が重要であり、正確な申告かどうか、をチェックしているのではないのです。

また、不動産も含め資産は時価評価が原則です。
市場に出して売れる金額が時価となります。しかしながら不動産の場合には時価が分かりにくい。相続財産を実際に売りに出すわけにもいかないのが現状です。
不動産鑑定評価をすべての土地に適用すれば良いのでしょうが、費用もかかり、現実的ではありません。
そこで、税務署は、時価に変えて、相続税路線価による評価(財産評価基準)を示し、この基準によって評価したものでもかまわない、としているのです。

路線価は、公示価格の8割をメドとしています。そのため大抵の場合には、時価を上回ることはないので、財産評価基準によって評価しても納税者に不利にはなりません。
ただし、これは標準的な土地の場合にのみ当てはまります。
面積の大きい土地や、道路付けの悪い土地、地形の悪い土地などは、買い主に嫌われることが多く、なかなか売れません。その結果単価は下がってしまうのです。
しかしながら、財産評価基準ではこうした売りにくい土地の減価はあまり認めていません。

そこで、相続税申告をあまり行っていない税理士さんは、単純に財産評価基準によって評価したそのままを申告してしまうことがあるのです。

結果として、面積の大きい土地や、崖地、無道路地、土砂災害危険区域、容積率がまたがっている土地など、一般的に売りにくい土地は高めの評価のまま、遺産総額が計算されてしまいます。
そうした計算違いの方のために用意されているのが、更正の請求制度です。

更正の請求は5年以内という期間限定があります。
請求をしなければ税金の還付もありませんが、請求をしたことによる負担やリスクはありません。

それは、還付された税金額の20%+50万円を、弊社と顧問税理士が受領し、残りの金額は納税者の手元に戻るからです。
たとえば、遺産の評価額が2,000万円減額され、税率40%の人なら800万円が還付され、590万円を取得できます。
5千万円減額なら2,000万円の還付、1,550万円が納税者の財布に戻ります。大きなボーナスです。
税率40%は、課税価額1億円以上3億円未満の家族ですから、不動産を持っている方であれば、そんなに特別の場合ではありません。

もちろん、我々が見直しをしても遺産総額が大して変わりが無いケースもありえます。
その場合にも、弊社から調査費用を請求することはありません。

ご依頼があると、まずは、事前調査をして、税金が戻りそうなら更正の請求を目指して調査、鑑定、申告をすることになります。

納税者の負担は、相続税の申告書類をお見せいただくだけです。

「申告のときに世話になった税理士さんに悪いのではないか、迷惑をかけるのではないか」というご心配には、
「お医者さんもセカンドオピニオンを推奨する時代です。また、税務署も当初の申告とは別の専門部署が担当します。これまでの深刻に影響のあることは考えられません」とお答えしています。

1億以上の不動産を相続し、5年以内に相続税申告をされた方

、まず問い合わせをしてみたらどうでしょうか

{更正の請求}

 通常の計算間違い等が見つかった時は納税者から更正の請求が行えます(国税通則法23条①)

これは、法定申告期限から5年以内にかぎられます。

ただし、相続税については、特別のの例外があります。

◆ 更正の請求の特則 (※) ・・・・ 相続税法の特例 (相続税に特有の後発的事由)

相続税 又は 贈与税について、次のいずれかの事由が生じたことにより、課税価格 及び相続税額 又は 贈与税額が過大となったときは、その事由が生じたことを知った日の翌日から起算して4ヶ月以内に限り 更正の請求をすることができます

(相法32条)
① 未分割財産について法定相続分による申告をしていた場合、分割が行われ当初の相続分による課税価格と異なることとなった場合
② 認知の訴え、相続人の廃除又はその取消し、相続の放棄の取消し等に関する裁判の確定により、相続人に異動が生じた場合
③ 遺留分の減殺請求に基づき返還すべき、又は 弁償すべき額が確定した場合
④ 遺贈に係る遺言書が発見され、又は 遺贈の放棄があった場合
⑤ 条件付の物納許可が取り消され、その理由がその物納財産が土壌汚染等であることが判明した場合
⑥ 上記の事由に準ずるものとして次の事由が生じた場合
 (ⅰ) 相続又は遺贈により取得した財産の権利の帰属に関する訴えの判決があった場合
 (ⅱ) 分割後に被認知者からの請求があったことにより、弁済すべき額が確定した場合
 (ⅲ) 条件付又は期限付の遺贈について、条件が成就し、又は期限が到来した場合
⑦ 裁判による特別縁故者への相続財産の分与が確定した場合
⑧ 未分割財産が、申告期限から3年以内 (所定の事由がある場合には承認申請による日)に分割されたことにより配偶者の税額軽減の適用ができることとなった場合
⑨ 相続開始の年において、被相続人から贈与を受けた財産を贈与税の課税価格計算に算入していた場合

上記後発的事由が生じたために期限後申告 又は 修正申告を行っても、加算税は生じません

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事業承継のテクニック

中小企業主にとって、事業承継はなかなか難しい。

良い後継者がいるか
いつ引き継ぐか
そのときに税務対策はどうするか
自分がいなくなってから争族にならないか
そもそも後継者を決めたAと、事業がうまくいくだろうか

悩むことはいろいろある。

ここでは税金だけを考えてみると、相続時精算課税制度も一つの良い方法となり得る。

代表者の死亡、相続となると時期を予定することはできない。
しかし相続時精算課税制度を利用すれば、会社の自社株評価が低い時期(不動産除却損がでたときなど)に、株式評価を行い、自社株を後継者に贈与する。
すると、評価額がその後高くなっても、低いときの時価を相続発生時まで固定することができる。
贈与税の仕組み

自社株という毎年評価額が変化してしまうことにより、不安が多く残る相続税を予め計算することが可能になるのだ。

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収益物件による相続税対策

相続税の計算をするときに、一番不利なのは現金、不動産で言えば更地。

現金や預金はその金額ズバリが遺産として計算される。
更地も控除項目がない。貸していれば貸家建付地として控除されるのに更地は評価額ズバリ。
また、建物は建築当初は建築請負額であるが、1年経てば固定資産税評価額が決定され、その額で相続税も計算される。
そのこと低資産税評価額は建築請負額の6割あるいは半値となることが多いから、現金を持っているよりも建物を作った方が有利なのだ。

そこで相続税対策として考えられるのが、アパート等の収益物件を作ること

1億円の現金と1億円の更地があるとして
更地の上に1億円でアパートを建てる。
更地は貸家建付地として評価額は2割減 8千万円
建物固定資産税評価額は、6千万円
合計すると1億4千万円
当初の2億円から比べると 6千万円の減少になった。

しかし、これだけで終わらない。

アパートは毎年毎年収益を生む。
1年に7~800万円の収入があり、経費を引いても500万円は残っていく
アパートは最初の内修繕費もかからないから、手持ちの現金は多く残るのだ。
やがて5年経てば2千5百万円の現金増、10年もするとアパートを作る前とほとんど変わらない遺産総額になってしまう。

そこで考えたのが、アパートを建てて数年後、そのアパートを子どもに贈与する(相続時精算課税制度の適用)
建物の評価6千間円の贈与だが、その後の収益が子どもに移り、親の遺産は増えないことになるのだ。 

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相続税更生請求を進める鑑定士

中部圏にも、私と同様に資産の見直しのお仕事を進め、お忙しい人が居ます。

田中利彦(ランドフォーライフ研究所)

本人に尋ねると、我が社よりも大きな案件を既にいくつも受けているようです。

三重県に土地をお持ちの方、一度相談されたらいかがですか?

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生保による相続税対策

相続税の増税対策として、生命保険の活用が進み、大手生保4者の収入は7%と増えた。

相続税対策の生命保険(日経20150214)

仕組みはこうだ。

贈与税がかからない基礎控除分の現金(110万円まで)を子どもや孫に贈る
子どもたちはそのお金で贈与者を被保険者とした保険に加入する
贈与者(親)が死亡すれば、子どもたちは保険金を受け取れる
満期まで親が生きていれば子どもたちは満期金が受け取れる。

低金利時代とは言え、受取額を計算すると銀行の定期預金を上回る利回りとなる。
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当事者の本音

400件を超える調停担当事件の内、とりわけ記憶に残っている事件がある。

トミさん(仮名)の事件だ。トミさんは70代後半、腰が曲がり、可愛いおばあちゃんだった。

「夫の土地の名義、私の相続分の土地を分けてください」
書記官がトミさんから聞き取り、作成された申立書を見ると、被相続人の家族はトミさんと養子になった弟だけ、法定相続人は実弟とトミさンになる。
トミさんには、2分の1の法定相続分があるから遺産の大部分を占める土地の半分はトミさんに権利がある。

不動産は、宅地300坪と農地5反ほど。調整区域だから価値自体は大きくない。

養子でもある弟に聞くと、「トミさんの好きにしてもらいたいが、ただ宅地は先祖伝来の土地、トミさんの単独所有にしたときに、将来売られてしまうのは困る。トミさんには子供がいないので---」

トミさんにどうしたいのか聞いてみた。
「宅地を半分にしてください」
(どういう風に切りたいのですか、縦に半分ですか、それとも奥と手前にしますか?)
「半分にしてください」
弟は、「実家の土地は二つに切りたくない」と言う

どうも、調停に出せばお上が「エイや!」と切ってくれると思っているらしい。
(トミさんがどうしたいのか、今後のことも考えてくれている妹さんと一緒に来てくれませんか)

何回か、妹さんを交えて話を聞いてみた。
そこで分かったのは、
トミさんは、
老後を妹さんと一緒の家で住みたい。しかし今の家は古いから一緒に住むことはできない。
建て替えたいと思ったが、相続が終わっていないから建て替えはできない。
建て替えをしたいのに、弟と話が進まないから裁判所に来た、ということらしい。

トミさんの本音は、宅地を欲しいのではなく、建て替えができればよい、ということだった。
弟さんに確認してみると、「実家の宅地部分さえ残るのなら、農地はトミさんの好きにしてよい」ということだった。

そこで、私は、
(トミさんは相続人、分家住宅として現在農地である土地に建て替えすることも可能です。
役場に行って、農業委員会で農地転用が可能か聞いてください。その上で建築が可能かについて都市計画課、建築指導課にあたってください。トミさんだけでは大変でしょうから妹さん、手伝ってやってください)と勧めた。

遺産を希望する人の思いはなんなのか、本音はどこにあるのか、が分からなければ、この事件は宅地を二つに切ることを選択肢として進んでしまったろう。

そうしたことで審判になった場合には、トミさんも弟さんもいずれも不満な結論になる。

本来、妹さんは当事者でないから家事調停の場には参加できない。
でも、トミさんの本音を聞くためには高齢のトミさんにいくら尋ねてもなかなか難しかった。

妹さんを代理人として認めてくれた裁判官にも感謝したい。

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贈与財産の取得原価

相続は、被相続人(親たち)の権利義務を引き継ぐことだから、不動産であればその不動産の取得原価も引き継ぐことになる。

したがってかなり前に取得した不動産の簿価は大変低いモノになるし、
バブルのときに高値つかみした不動産なら、取得原価は高く、大抵の場合は譲渡損失となってしまう。

贈与財産の取得原価

贈与税は、相続税の補完税。
考え方は同じになるから、贈与された不動産の取得原価も引き継ぐことになる。

このことを踏まえて
子どもに家やアパートを取得させたいのであれば、親がその家やアパートを取得し、何回かに分けて(持ち分にして)贈与する方法も考えて良い。

たとえばアパートのために2000万円を息子に贈与すると、まともに贈与税がかかる。(税額545万円)
これを親が自分の名義で登記してから、3回に分けて贈与するとどうなるか。
親が取得したことにより、建物の固定資産税評価額がはっきりする。(たとえば1200万円)
この評価額を3回に分けて贈与すると、400万円の贈与税は55万円

もちろん、取得税が親、子どもの2回かかることや登記にかかる印紙税などの経費がかかるが、贈与税は大幅に下がることは明らか。
3回と言っても足かけ3年だから、年をまたぐ時期を考えると1年3ヶ月くらいあれば可能な方法だ。

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