事業承継と鑑定評価

中小企業経営者の遺産分割では、個人所有の遺産もさることながら、
会社の資産をどうするか、会社の経営権をどうするかが問題になることがある。

会社経営に関係のない相続人、経営能力のない相続人の存在は経営を承継する相続人にとって頭の痛い問題となる。
できれば父親が全てを決めておいて欲しかった、その声に応えようとしたのが事業承継円滑化法である。生前に承継の意志を明確にし、遺留分の放棄も含めて会社関係は整理しておくのである。父親が存命中は何も問題は生じないだろう。しかし、それが相続の時に必ずしもうまくいくとは限らない。

税法上,合理的な処理はされていても、不公平感はぬぐえないことがあるからである。不動産の相続税評価に応じた法定相続分に見合う現金をもらったとしていても、「路線価は時価よりも低いのではないだろうか」「自分のもらった土地と比べ、長男のもらった土地は高いのではないだろうか」
親が居るうちはなかなか言いにくいことが、父の死亡後、表面化してくる。
分割した当時はどうであったのか、たしかな資料があれば不満を言う相続人を説得もできよう。しかし、親の「鶴の一声」で決まってしまった場合、何も資料がないことが多い。父親が結論を出す前に、「第三者の評価に基づいていたら」「不動産について正確な資料を整理しておいたら」というような公開の声は数多く聴く。
隣接地との問題も、経緯や内容をよく知っている父親が存命中なら簡単に解決することがほとんどである。後になっては不利な条件をのまざるを得なくなる。

事業承継を考える前に、どのような不動産なのか、今後どうすべきなのか、いろいろと検討する資料として鑑定評価をとっておく方が望ましい。価格だけの問題ではなく、その土地がどのような問題点を持っているのか、有効利用のヒントも不動産のプロである不動産鑑定士が提供できる有力な資料である。

会社の資産と社長個人の資産を見直す場合には、同族会社関係の取引として税務上注目されることが多いので、慎重に行うことが肝要。まずは良く検討するべきだろう。こちらも見て欲しい。l

鑑定評価は(有)埼玉不動産鑑定所へ