遺産分割と評価

遺産分割が問題になるとしても、いくつかのパターンがあります。

①不動産、預貯金の外、家業があって後継者が居る場合
②わずかな預貯金と不動産は自宅だけの場合
③不動産はなく、預貯金等金融資産だけの場合

③のケースは総財産がすぐに計算できますから、評価の問題はありません。
①のようなケースは、紛争になれば正式に法的処理も必要でしょう。
多くのケースは②だと思いますが、そのときに不動産の評価で「?」となったらどうしましょう。

例として
相続人は長男と次男の二人だけ。遺産は固定資産評価額3千万円の自宅と預貯金3千万円だけとします。自宅は長男に残し、次男には預貯金を相続させようと親は考えました。
この場合、相続税評価をしても特定居住用宅地の評価をするなどして相続税はたぶん非課税になるでしょう。相続税の問題よりは、むしろ、「自宅を取得する長男と比べ少ない」と次男は不服を言うかもしれません。
「固定資産税評価額は時価の7割に過ぎない。実際は5千万円くらいするのではないか」

遺言を書いても遺留分を主張されれば、争いが残ります。

こんな時には、公正証書遺言を残しておくだけではなく、自宅を鑑定評価して資産価値を明らかにしておくことをお勧めします。このときに実際に自宅が3千万円の価値であったなら兄弟たちの争いの種はなくなります。(自宅の形状が悪かったり、傾斜地であるなど減価すべき要素があれば固定資産税評価額以下に時価は下がっていることもあり得るのです)
自宅の評価額は5千万円と出たらどうでしょうか
その場合には二人の差額(2千万円)に見合う特別受益を過去に弟に対して行っていないか、長男に寄与分はないかを検討します。

それでも差額が2千万円ある場合は
そのままのことを公正証書遺言として作成するのはよいと思います。
総遺産額8千万円のうち、次男に渡るのが3千万円。遺留分である4分の1を上回っていますから、遺留分侵害の問題はないことが明白になります。紛争の種は未然に防いだと言ってよいのです。
ここでの教訓は、親が生前に公正証書として意志を明確にしておくこと
さらに、その前提として鑑定評価書を残しておけば遺留分の問題も検討済みと明示できることなのです。
鑑定評価は、埼玉不動産鑑定所へ