節税につながる現物出資

中小企業経営者は、企業だけの納税額だけではなく、
代表者や家族の納税額も合算した全納税額を最小にすることように考える。
最近、相談を受け、鑑定評価を行った例である。

企業の収益は毎年赤字が続いており、将来的に安定的な収入が欲しい。一方、社長個人の持つ駅前の土地はコインパーキングにすると安定的な収入が得られそうだ。しかし、このままコインパーキングにすると、社長個人の収入が増え、その結果所得税も増加する。そこで、この遊休地を企業の所有にした上でコインパーキングにすれば、会社の安定収入かもはかれるようになる。

この場合、遊休地を会社が社長から買い取ればよいのだが、会社には余裕資金がない。そのため、不動産の時価に見合う株式を発行し、現物出資とすることにした。
社長個人から見れば、現金に変わる株式を取得したことになり、時価マイナス原価の収益に対し譲渡所得税が課される。今年は若干の譲渡所得税が納税しなければならない。しかしながら今後、土地価格の上昇が見込まれる駅前周辺である。このまま社長が保有していくと、相続財産の価値が膨らむことが考えられたから、今、現物出資し、不動産から赤字会社の株式に変換することは相続対策にもなると予想できる。
会社の安定収入と相続対策の2つを同時に考えた資産管理方法である。

鑑定評価は(有)埼玉不動産鑑定所へ