相続で後悔しないように (17)

③家族で揉めないだろうか

Aさんは、結婚を機に新築マンションを買うことにしました。
税制改正によって、親からの援助に贈与税がかからなくなったことも朗報でした。

妻のBさんも共稼ぎ、住宅ローンの返済を考えても生活に少し余裕があります。
都会のマンションの夜景は素晴らしく、
AさんとBさんは、幸せの絶頂にいました。

2月ほど経った或る日、Bさんに不幸が舞い込みました。

Aさんが、突然死してしまったのです。

マンションの住宅ローンには団体生命保険がついていました。住宅ローンの残額は生命保険が充てられ、支払いを続ける必要はなくなりました。

子どものいないAさんの相続人はBさんと、Aさんの両親C,Dさんです。

父親Cさんはマンション頭金1,500万円を援助していました。
何とも納得がいかないというのは母親のDさんです。
「あんなに元気だったのに、なぜ突然心臓が止まった、と言うの。Bが何かしたんじゃないかしら」

遺産分割を進めるのにも、親族間の信頼関係がないのでは大違いです。単なる第三者である以上に問題がこじれてしまいます。
結婚後何年か経ち、嫁と姑、それぞれの考え方もわかり、助け合ってきた経緯があれば、一緒に問題解決を図れます。しかし、何回も会って話もしていないBさん、Cさん、Dさんにはその人間関係ができていなかったのです。

誰にも罪のないことでしょうが、姻戚関係の要となっているAさんの突然の死亡は親族の間に別の不幸をもたらしてしまいました。

若いAさんですが、遺言書があれば、親のDさんも納得しやすかったかもしれません。

かつては、親が決めた結婚相手が当たり前、親同士はよく知っている中でした。
今は若い二人がであってゴールイン、親は相手の素性を全く知りません。
親の『?』はどうしても起こりえます。

そのうち、『結婚したら遺言書を書こう』と言うことが当たり前の時代を迎えることになるのでしょうか。

鑑定評価は、埼玉不動産鑑定所へ