相続で後悔しないように (18)

③家族で揉めないだろうか

遺産分割を争う家のことを噂に聞いて、遺言書を用意する母親もいます。

「娘たちへ 嫁入り支度やそれぞれの自宅購入のお金。孫たちのお祝いも長男以上にしてあげました。
だから、私の相続が起きたときは、この家を長男に渡すのを納得してください。その代わり、それぞれに二百万円ずつを支払うように長男には言っておきます。それで納得してください。」

 嫁入りの時の持参金も姉妹の自宅建設資金も、よく考えると父親の財産を渡したものかもしれません。そうであれば、父親からの贈与であり、母親からの贈与(特別受益)ではありません。
また、母親からの贈与とされたときにも二百万円が遺留分を上回っていればよいのですが、そうでないと遺留分も侵害されたことになります。

遺産がどのくらいあるのか、
遺留分制度を調べてどのような扱いになるのか
自宅の土地建物は価値がどれだけあるのか、
場合によっては不動産鑑定をとっておくことで、母親の思っていた遺産価値の記録が残ります。
少なくとも、母親の真意が伝わることは間違いないでしょう。

いずれにしても遺言書を作るときには、不動産の価値を検討しておく必要があります。

2012/5/20
鑑定評価は(有)埼玉不動産鑑定所へ