競売物件申立減少は、競売市場性修正が大きいから?

金融円滑化法((「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」の通称)=平成20年(2008)秋以降の金融危機・景気低迷による中小企業の資金繰り悪化等への対応策として、平成21年(2009)12月から、二度の延長を経て平成25年(2013)3月末まで適用された)の適用された21年以降、競売申し立てが激減したのは、全国とも同じである。

しかし、金融円滑化法が終了した後も減少は続いている。

さいたま地裁競売売却推移

なぜだろうか?

不動産市場が好転し、物件が売れるようになると、金融機関ならびに債務者の意識も大きく変わったようだ。

物件が売れそうにもないときは、

「最後の手段の競売で行くしかない」と債権者(銀行)は競売申し立てをし、

任意売却を渋っていた債務者も競売評価額が出ると

「競売評価よりも高く売れるのなら—」と任意売却を承諾する。

ところが、物件が売れてきたことと、競売入札の下限額(=買い受け可能額)は競売評価書の金額から2割引になるために、債務者(所有者)にとって最悪なときは公示価格の半値以下に買いたたかれることになる。

そのため、駅から遠い調整区域など、売りにくい物件はともかく、売れそうなものは任意売却の方が債務者にとって有利、ということがはっきりしてきたようだ。

競売市場性修正も見直しをするべき時期にきている。

最近の債権回収と競売市場性修正