遺産分割の長期化要因

最高裁の研修会資料によると、長期化要因はいくつかある。

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遺産分割の事件を複雑にする第一は、前提問題や付随問題を持ち込まれるケースが多くなったこと。
遺言書は偽造(あるいは無理に書かせた)だから無効である。
養子縁組は本人の意思ではない、だから養子とされる人は相続人ではない。
○○は暴行虐待を繰り返してきた。相続人廃除と本人も言っていた。  等々
遺産分割の前提となる事項が確定しないから、話し合いのテーブルに乗れないのだ。この場合、別の事件として裁判所の確定判決が得られるまで調停は進められない。

付随した問題として、これまでの不動産管理や老人の扶養、介護の問題。あるいは墓地祭祀の承継を誰がするのか、相続発生後(被相続人死亡後)のアパート収入経費の精算など、遺産分割そのものではない問題がある。これらは別の問題ではあるが、当事者が同一であり、彼らからすれば一緒に問題を解決して欲しい希望がある。

相続問題が解決しないでそのままでいると、やがて相続人にも不幸が訪れる。子どもや配偶者が相続人の地位を継ぐことになる。
また、長い年月を経て不動産の周辺やそのものも変化が出てくる。それまで問題でなかったことも当事者の注目を集めることになる。

長くなればなるほど主張が先鋭化することも多い。感情的対立が昂じ、そもそも話し合いをしたくない、と双方が思い出す。
時間が解決する、部分もあるが、折を見て解決をしておかなければ、遺産分割は難しい問題を多くすることは事実である。

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