相続で後悔しないように (13)

③家族で揉めないだろうか

しばらく前までは、男は家を継ぐもの、女は嫁に行ったらそのうちのお墓に入る,という認識がありました。
しかし、最近では家のお墓を守る孫がいない家も増えています。結婚しないで両親と住んでいる女性も多くいます。
世間の常識は変わってきています。

末っ子が男、上は姉妹2人という3人姉弟の家がありました。上ノ二人は高卒後働き、やがて嫁に行きました。父に可愛がられた長男は医大に進み、勤務医になっています。
親が亡くなり、自宅だけが残されました。長男の家族が住んでいます。
「私たちは高校を出た後、お勤めをして結婚した。お母さんやお父さんの介護も手伝った。あなた(長男)は何千万円もかかる医大に行かせてもらった。今やそれなりの収入をもらっている。とても公平とは思えない。法定相続分の3分の1ずつというのは納得できない。」
「法律相談を受けたら、特別受益として医大の授業料などを計算するはず、と言われた。自宅の価値と変わらない授業料。それに実家ももらいたいなんて---」
「実家の土地建物の時価相当額プラスアルファを2人に支払ってください」

父親の思いはどうだったのでしょうか
娘たちにはそれぞれ家を建てるときに資金援助した。だから納得してくれている、大丈夫だろう、と思っていたのかもしれませんが、男女同権、嫁に行っても対等ということになります。

遺言の中に、資金援助のことも記載し、少しずつでも姉妹になにがしかの金銭を与えるようにしておけば良かった、と思われます。長男への特別受益も持ち戻し免除の意思表示を示しておけば、かなりの説得力があります。
現金がなくても、長男に「姉たちには○年かけて○○万円ずつを渡してあげなさい」と遺言しておけば、問題はこじれない可能性が高くなります。

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